武田俊

2022.6.28

空中日記 #78 深く味を染み渡らせることができるって寸法だよ

6月12日(日)

Carecoで車を借りてじゅんちゃんとドライブ。運転中は他のことができない、というのがいい。それでいてパーソナルスペースが守られるし、電車移動だとすぐに寝てしまう彼女もじっとしながらおしゃべりを楽しんでいる様子。リビングのカウチに横並びになったまま移動している感じ。目当てのアウトドアショップはまさかの駐車場が満員で、そこにゲリラ豪雨が重なり偶然見つけたコメダに避難してみそかつサンドを食べた。そのあと再トライするもまだ満車で、場所を移してアウトレットへ。前に来た時は「資本主義の墓場だ……」と体調を崩したけれど今日は目的が明確なので、大丈夫だろうと判断し、mont-bellでストームクルーザージャケットを買う。前にアド街でみたスーパーで、ビーフビリヤニも買う。帰って食べたらたいへん美味で、またすぐに買いたい。

THA BLUE HERB「ILL-BEATNIK」のBOSSのライミングの真似でじつにしょうもないことを言う、というのが突発的に家で流行る。このあいだ作ったピクルスの野菜たちをなぜ乱切りにしたのかを説明していた。
「きゅうり、こうやって乱切りにして表面積を増やすことで深く味を染み渡らせることができるって寸法だよ」
なぜかここで「寸法だよ」ってフレーズが選ばれたことで咄嗟にBOSSっぽくしてみようとなって、「もう一回言うぜ」が口をついて出た。めっちゃきゅうりを乱切りしたことを、勇ましく2度も言う。それがなんとも楽しくて、バージョンを変えながらしばらくずっと笑いあっていた。

ちなみに元のリリックはこう。

例えばな1日1cmづつ進む,5日で5,1年で365
キャリアは5年で18m25もの スコアを叩き出すことができるっていう寸法だよ
もう一回言うぜ
例えばな1日1cmづつ進む,5日で5,1年で365
キャリアは5年で18m25もの スコアを叩き出すことができるっていう寸法だよ

 

6月13日(月)

ゆうたろうと2度目の初島へ。最高気温24℃、くもり。実に釣れそうな雰囲気。ほんとうは1泊する予定だったけれど、明日が1日中雨だって予報で日帰りでロックフィッシュをやる。

 

6月27日(月)

止まってしまうのは体調の波のせいで、一時のさざ波がそのあとのアクティブで光のような日々を「日記上なかったこと」にしてしまうのが、なんというか悔しいなあ。昨日寝る前、続ける、ということについて考えていた。この空中日記、ぼくの中では続けたいのに途切れる、という印象しかないのだけど、妻は「なんだかんだ途切れながら続いててえらいよね」と言う。続けたいのに途切れてしまう、ととるか、途切れながらも続いているととらえるのか。このましい時間の流れのつかまえ方は、たぶん後者で、そういう視点が自分にはあまりないのがもったいないなあ、と思う。

書かれなかった日々の中で、ぼくは渓流釣りをし、根府川の磯でカサゴを釣り、久々に映画美学校の試写室で映画を見、1つのエッセイを書き上げ納品し(これは今の自分にとってとても大切な作品になった)、たびたび車を借りてドライブに行き、すてきなビリヤニを食べ、偶然在庫が入ったというPS5を入手した。小さな冒険みたいなことは、たくさんあって、だからやっぱり続けたいよね。なるべく途切れないように、って思う。

ypadでの予定と習慣の管理を今日から再開した。
まわりのハードコアタスカーたちにはまだまだ及ばないから、厳密すぎないように日課を進めたいって思う。必ずやりたいこと、の他には、それぞれ気分で選んでいいタスクを配置させて、選ぶ基準としては心と体がその日何を望んでいるか、にした。判定基準は文化の日、体育の日、どっちにしたい?ってもので、体が動きたがっていたらジムか柔術に行き、心が動きたがっていたら本でもゲームでも映画でもいい、何かを摂取しようというもの。

いろいろ社会活動も再開。数年前から動きをウォッチしていたニュースレターブーム。毎週月曜に3時間ラジオで話していた時間がなくなった今、カジュアルに自分の考えやおすすめやアクションを人に伝えたいなあと感じはじめていて、そんな時にむかしからの知り合いのパイセン・宮崎智之さんがはじめられたのを知る。いいなあいいなあ、と思って、自分でもスタートさせるべく動き出した。

今月末で、6年くらい携わってきた仕事から離れるための引き継ぎが終わる。手放したり離れたりばかりの人生だけれど、そしてそれは毎回ものがなしいものだけど、不思議なことがあって、それは誰に伝えているわけでもないのに、何かから離れるというタイミングでだいたい、大きなお話が舞い込んでくる。これはいったいなんなのだろう。くわしくないしくわしくもなりたくないけど、引き寄せ、ってこういうことなんだろうか。