武田俊

2022.4.15

火曜日にも朝がある

4月5日(火)

3年ぶりの火曜日の朝だ!
と思って、じゅんちゃんを誘って朝さんぽに出かける。なんだか全部が感動的。火曜日にも、朝っていうのがあったんだね、という発見。家のそばには歴史ある大きな神社があって、そこに朝出かけるというのは想像よりもずっとスペシャルな時間だった。

境内はひとつ駅までの通路としても機能していて、そこを横切るだけなのに、足を止めてお辞儀をしていく人がたくさんいる。全体の6割くらいはそういう人で、きっと子どもの時からそうしてきたんだろうなと思う。そういう町に生まれて暮らした地元の人の、考える前に出る習慣的なアクションにグッとくる。それを真似ておじぎをする自分たちが、なんかかわいい。

4月6日(水)

6時起きで、ゆうたろうとカーで管理釣り場へ。かれは今日撮影の仕事が海辺の町であって、その前後に釣りをしてしまおうという計画。ぼくはフリーなので、全力で釣りをしようと思う。釣り部のディスコードに
「ハマちゃんDAYをすごそうかと🐟」
と書き込むと
「ハマちゃんは仕事の合間を最大化して釣りに行くから、それはただの釣りの人👉」
と返ってきてわらう。ぼくはただの釣り人。

仕事にいくゆうたろうを見送って、そのままトラウトやり続け、海辺の町へ移動。
このあたりで膝がカクカクになって、でも疲れてるからふたりでドーナッツでも車の中で食べたら楽しいじゃんと思い、力を振り絞って5個くらいかう。それで力を使い果たし、駅前の地面に座ってぼんやりとかれを待っていた。

砂浜のポイントまで車で走っていく。もう日が暮れてきた。富士山のちょうど真ん中のところに日が落ちていくねー、なんて話していたら走っていた道路の脇の海辺に10人以上の人が望遠レンズでその様子を撮影しようと待ち構えていて、ああそういう特別な日なんだなって思う。

メタルジグをサーフから遠投するのは久しぶりで、さっきまで1.6グラムのスプーンなんかを投げていたから、30グラムのジグをめちゃくちゃ天ぷらキャストしてしまう。がんばって修正したら、重たいものをもう暗くなってしまった海に向かって投げているだけで楽しい。巻き抵抗もあるものだから、釣れてないのに釣れたような気持ち。

だんだんキャストがうまくなり、着水点も見えるようになったころ、また自分がルアーになって海に飛び込んでいくようなビジョンが見えてきた。さっきよりも暗くなってきて、体ごと暗い海に溶けていく。それがこわいようで心地がいい。この怖さというのは、都市を生き抜くために適応した体が、自然の中におっかなびっくり戻っていく感じからきていて、だから怖いようで心地がいいんだろう。二項対立しない、こわさと、ここちよさの同居。
自然の中に身を置くことの醍醐味が、ぼくにとってはたぶんこれだね。

4月7日(木)

計算したら昨日は、移動と食事(といっても、ほぼ移動時にとかあいまに軽食とったくらい)を除いたほぼすべての時間をルアーを投げていた。10時間とか。めちゃくちゃ体が疲れている。なにもしたくないけど、ぼくはゆっくりのんびりぼーっとすることができないので、かわりに少しずつ見てたアニメ『進撃の巨人』を見る。

『進撃の巨人』こんなふうにおもしろいよ、ってなんでみんな言ってくんなかったの!
と見始めたころ、思ってた。ユニークな部分と、いろんなヒット作のパッチワーク的な部分のバランスが絶妙で、ベタにもメタにも楽しい作品。で、全部見たけど、まだ終わってなかった!87話もあるのに!

アニメの完結は2023年とのこと。ぐ……気になる……。原作を大人買いしてしまいそう。大人だからできるのだから。